Spine Dynamics 療法は、独自の手法や器具を用いたものではない。重要なのは、「慢性疼痛の捉え方」であり、治療方法は各セラピストのオリジナルで構わない。ここからは、医療法人社団SEISENにて慢性疼痛患者に用いる運動療法の一例を紹介する。
体のストレスに対する治療は次の通り。
(1)%MVに見合ったWBIに回復させる。
(2)安全な方法での筋力強化
(3)食育
器具を使った治療法や体操法を実施し、総蛋白質量に見合った筋出力を回復させる。
WBIは自分の体重をどれだけ支えられているかを示している指数(体重指示指数)である。このWBIが低値を示しているということは、自身の体重を支持できていないということになるため、抗重力位での治療法や体操法は適さないことが多い。このように、WBIによって選択する治療が変わってくる。
器具: | フレックスチェア |
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目的: | 背部筋のリラクセーション、粘弾性の改善 |
方法: | 頭の位置を動かさないようにして、骨盤を前後傾、左右屈を各10回行う。 |
器具: | ストレッチングベンチ |
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目的: | 仙腸関節の関節機能異常を改善する。 |
方法: | ストレッチングベンチに両足でのり、胸を張りながら骨盤を前傾させ、5秒間保持し、その後骨盤前傾を解く。これを10回行い、その後同様にして、右足のみ、左足のみの片脚ずつを各10回行う。 |
器具: | メディカルスティック |
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目的: | 胸式深呼吸によるリラクセーションと胸肋関節の関節機能異常を改善する。 |
方法: | メディカルスティックの上にのり、目を閉じてゆっくり大きく胸式呼吸を行う。 |
目的: | 仙腸関節機能異常の改善 |
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方法: | 椅子座位で大きく足を開いて座り、胸を張ったまま骨盤を前傾させる。 股関節の詰まり感を感じたら背中の力を抜き、背中を丸めていく。 回数は10回程度。 |
目的: | 仙腸関節機能異常の改善 |
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方法: | 壁などに両手をついて立つ。片脚を外転させ、その後振り下ろす。左右10回ずつ行う。 |
目的: | 背部筋のリラクセーション、粘弾性の改善 |
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方法: | 四つ這い位となり、骨盤前傾‐体幹伸展、骨盤後傾-体幹屈曲の運動を10回程度行う。 |
安全な筋力強化法の考え方は次の3つ。
●筋血流を維持する負荷 | 50%MVC以上の負荷を避ける |
●ST線維での熱量発生を優先する | 交感神経緊張を避ける |
●等尺性筋収縮を避ける | 交感神経緊張を避ける |
等張性筋力強化法は筋張力が定まりにくく、等尺性筋力強化法はFT線維の稼動と交感神経緊張状態を生じる。よって、上記3つの考え方で安全な筋力強化法を実践するためには、35~45%MVCでの等速性機器を用いた筋力強化を推奨する。
評価にて紹介した食事の3つのサイクルを十分に理解し、内臓の自律神経に負担をかけないタイミングと内容を実践してもらう必要がある。
食事内容として、動物性たんぱく質の過剰摂取が交感神経活動異常と関係が深い。動物性たんぱく質は消化に時間を要し、胃や腸で消化しきれない動物性たんぱく質は腸内で余剰な活性酸素を放出し、その活性酸素が血中内に取り込まれることで交感神経活動異常を生じる。
消化の補助としては、よく噛むこと・消化を助けてくれる酵素がたくさん含まれた生野菜やフルーツの積極的な摂取が望ましい。
睡眠中には、心身の休息、記憶の再構成、子どもの成長や創傷治癒、肌の新陳代謝、免疫力向上、ストレス除去がなされるとされている。
時間: | レム睡眠・ノンレム睡眠の2つの睡眠周期を90分で一巡し、その4~5巡、つまり6時間~7時間半が心も体も回復できる時間となる。 |
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質: | 入眠後初回に現れるノンレム睡眠が最も深い眠りであり、朝に近づくにつれノンレム睡眠も段々浅くなっていく。つまり、寝始めの90分間がかなり重要である。この部分の質を上げる方法としては次のものが挙げられる。
・毎日なるべく同じ時間に眠るようにする ・体に負担のかからない(交感神経を刺激しない)運動をする ・ぬるめのお風呂に半身浴で20~30分ゆっくりつかる ・リラックスするアロマを利用する などなど
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疼痛は物理的な体のストレスとして現れ、運動エネルギーの連鎖が破綻することで現れた結果であると捉える。治療の第一段階としては、関節機能異常などに対する物理的な側面からアプローチする。
最終的には物理的な体のストレスを生じさせている、交感神経活動異常の原因や心のストレスコントロールに向けての患者自身の行動変容が治療の鍵をとなる。
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