スパインダイナミクス療法

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Spine Dynamics 療法における評価

姿勢制御機構を破綻させている原因の推察

コンテンツ2の特徴的な脊柱機能(Buffering Function)評価の一つに、局所の弯曲運動不全を打診にて推察する手法がある。その手法は以下の通り。

背中の写真
  • 脊柱起立筋部を上から下に向かって、トントンと叩く。
  • 「鈍い痛み」または響くような「いた気持ちよさ」を感じる部分を探す。
  • 写真のように背中を「」・「」・「」の3つの部分に分け、痛みの順番を決める 。

注) 最初は軽く叩いて痛みが感じられなければ、徐々に強く叩いてください。

これは、筋肉のハリの状態を検査しており、叩いて痛みのでた部分によって先ほどの 1〜3のうちのどれが原因であったのかが判ります。

」の部分が痛み・違和感あり → 原因は " 1 心身相関”
」の部分が痛み・違和感あり → 原因は " 2 内臓のストレス”
」の部分が痛み・違和感あり → 原因は " 3 体力低下”


また、全脊柱側面レントゲン画像によっても要因の推察は可能である。


体力低下
  • 頚椎~腰椎の弯曲アライメント異常:
    正常では高い弯曲運動性である筋性支持型アライメントであるが、脊柱の弯曲運動を促す筋力が低下すると弯曲アライメント異常を起こし、骨性支持型アライメンとなる。
  • 腰椎前弯頂点の位置:
    L3頂点が通常である。矢状面における腰椎前弯頂点が下がるほど、体力が低下している事を示す。
    第3腰椎WBIと各弯曲頂点間WBIの比較
  • 腰椎棘突起肥大及び関節化:
    骨性支持型へ移行が進むと、弯曲アライメント異常を起こすだけでなく、棘突起が肥大化し、上下棘突起間が狭くなり、さらには上下棘突起間で関節化が起こる。

    骨性支持が進行すると椎体前方安定化に上下椎体同士が強直化することは知られているが、脊髄腔保護の観点から、椎体後方安定化のために棘突起間の狭小化・上下棘突起肥大関節化を生じる。
心身相関
  • 視床辺縁系で生じた情動反応や脳の疲労が持続すると脊髄下行性交感神経活動異常を惹起する。自律神経支配の呼吸筋を含む胸髄支配域の筋緊張亢進により胸椎FLAT化が促進される。
①体のストレス(体力低下、内臓からのストレス)評価
体力低下
表2

体力の評価として、“%MV(%muscle volume:筋質量)”と“WBI(weight bearing index: 体重支持指数)”を用いる。
%MVは、総たんぱく質量(kg)/体重(kg)×100=%MVという式で表され、身体における総たんぱく質量の割合が算出できる。
WBIは、膝屈曲70度位での膝伸展筋群等尺性随意最大筋力を体重で除して算出する。この値は、人が重力に抗してどれだけの運動機能を有しているかを評価することができ、年齢・性別・疼痛部位には左右されない絶対的体力指数である。

ところで、%MV とWBIには次の表のような関係がある。例えば、%MVが72%であれば、WBIは100となり、日常生活を全て有酸素代謝で行うことができ、自己修復力が働きだすレベルである。(表2)
WBIは、椅子からの立ち上がり、ハンドヘルドダイナモメータでも相関が実証されており(図8、表3)、高価な測定機器(Biodex社製 system3など)を購入しなくても、簡便に計測することができる。
図8 表3


内臓ストレス

img9 下位胸椎の弯曲アライメント異常:内臓ストレスは、自律神経と体性神経相互の反射である「体性‐内臓反射」、「内臓‐体性反射」、「内臓‐内臓反射」のうちの「内臓‐体性反射」の影響を受ける。 「内臓‐体性反射」とは、求心路が求心性自律神経、遠心路が体性運動神経からなる反射機構で、腹腔臓器細胞がストレスを受けると求心路を介してその情報を下位胸髄(中枢)へ伝える。 下位胸髄では、反射弓による下位胸髄支配の筋性防御(安静時筋緊張亢進)が働き、これにより下位胸椎~上位腰椎の弯曲アライメント異常を観察できる。

食事の内容とタイミング
食事の内容、タイミングについての大切な考え方としては、“内臓の自律神経のリズムに負担をかけない”ことである。
内臓のリズムは24時間で1周期となっており、その1周期が8時間ずつの3つにわかれており、その3つとは次の通りである。


  • 利用:20時~4時。補給したものを吸収し利用する時間帯。
  • 排泄:4時~12時。補給し吸収・利用したものを排泄する時間帯。腸の休息の時間帯でもある。
  • 補給・消化:12時~20時。主な食事摂取の時間帯。
以上の3つ時間帯が崩れるような食事では、内臓へのストレスが多い食事ということになる。
薬の内服
どんな薬(例え漢方薬であっても)にも必ずといってよい程“副作用”が存在する。“副作用”が存在するということは、ある症状には効果があっても、その他のある部分に対しては“毒”となっているということである。この“毒”が内臓への負担を強いて、内臓ストレスとなる。
② 心のストレス(心身相関)評価

自律神経を直接評価することは非常に難しい。そこで、自律神経の影響が強い心機能にて間接的に自律神経の評価が可能となる。

心機能による自律神経機能評価:上限心拍法
目的
エルゴメータでの運動により、末梢循環や骨格筋の機能の改善が運動耐容能の改善(最高酸素摂取量の増加、同一負荷強度における血圧と心拍数の低下)、さらには自律神経機能改善につながる。
 この方法を用いることによって、現在の自律神経機能の状態を評価することが出来る。
方法
エルゴメータの上限脈拍を設定する(90~110)。
15~20分の駆動中での最大負荷値(W)を記録しておく。

また、上限心拍法以外にも、自律神経症状の重要な要素である睡眠の時間・質の評価も大切となる。

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